「神無月」それとも「神在月」? 澄んだ青空に飛来する渡り鳥。秋の深まる10月です
刈り取られていく稲の横で紅く咲いているのは何の花?
イヌタデの花
この「イヌタデ」どこかで見たことありませんか? 実は刺身のツマとして使われる「タデ」と同じ仲間。「タデ」には「蓼食う虫も好き好き」とことわざに言われるように独特の香と辛味があり、それを活かして芽は刺身のツマに、葉は料理の彩りや薬味になっています。
「タデ」と違って「イヌタデ」には香や辛味はなく、タデに似ていながら用をなさないという意味の「イヌ」が頭についたとか。でもこの紅い色の美しさはおままごとの格好の材料となりました。花をしごき取ってお赤飯に見立てて楽しむそうです。ですから「赤まんま」という名前をもうひとつもっています。
「イヌタデ」は街中の道端でもみかけますが、ほとんどの人が気にも留めずに通り過ぎていきます。心がけて見ていくと、何げなく咲いている花は意外に色鮮やかでかわいらしいものがたくさんあると気づきます。エネルギーに溢れたこんな花たちにもこの秋はぜひ注目してみてください。
秋の〇〇といえば、秋の空、秋の声、秋の心、秋の味!
まさに「天高く馬肥ゆる秋」という言葉がピッタリなのが秋の味。かぼちゃ、栗、柿、薩摩芋、とどれをとっても身のしっかり詰まったどっしりとした重さをもつ物ばかりです。大地の養分を吸って実った作物は嬉しい限りです。
「ずっしりと南瓜(とうなす)落ちて暮れ淋し」 素堂
「三つほどの栗の重さを袂にす」 篠田悌二郎
「山柿や五六顆おもき枝の先」 飯田蛇笏
「ほっこりとはぜてめでたしふかし甘藷」 富安風生
いかがですか、どの句にも肥えた秋の実りのうま味を感じてきませんか?
どのように料理しても美味しい秋の味は、焼いたり、蒸したりと本来の味を先ず楽しんでみるのはいかがでしょう。今年の秋を身体に摂りこんで自在に秋を楽しみたいですね。
10月「神在月」の出雲大社は神さまで賑わう?
出雲大社 本殿
天上の神である天照大神(あまてらすおおみかみ)は、大国主神(おおくにぬしのかみ)が治めていた豊葦原の瑞穂国(とよあしはらみずほのくに)、今の出雲地方を孫の瓊々杵命(ににぎのみこと)に治めさせたいから譲って欲しいと使者を送ります。大国主神の力自慢の息子はそんな理不尽は認められないと、天照大神の使者と力比べをしますが負けてしまうのです。とうとう出雲の国は瓊々杵命が治めることになりました。そこで大国主神は国を譲ったのちは、天上の神の住む宮殿のように作られた出雲大社に移り住み、神事(かみごと)を司る神として鎮まったのです。
出雲大社では毎年、大国主神とともに神議(かみはかり)を行う八百万の神さまをお迎えする神事が行われています。それが旧暦10月の「神在月」です。新暦の現在では10月ではなく11月が「神在月」になっています。神々の集う神事とはどのようなものでしょうか、その大まかな内容を見てみましょう。
◆まずは神々をお迎え
神迎神事と神迎祭は毎年旧暦10月10日、今年は11月14日(日)に行われます。
◆ここがメインイベントの神議(かみはかり)。神々の相談は7日間にわたります
神在祭は毎年旧暦10月11と15日と17日、今年は11月15日(月)と19日(金)と21日(日)に行われます。
◆皆が気になる幸せの縁結びもこの時
縁結大祭は毎年旧暦10月15日と17日、今年は11月19日(金)と21日(日)に行われます。
◆神々が神議を終えて出雲をお発ちになります
神等去出祭(からさでさい)は毎年旧暦10月17日と26日、今年は11月21日(日)に行われます。
およそ1週間の神事は、私たちの身近にあるお祭りとは違いとても厳かに行われているようです。本当の「神在月」は11月ですが、せっかくですから少し先取りして神さまへのお願いを今月考えておくことにしませんか。来たる年を良き年にするために。
参考:
[出雲大社 神在祭]