花見弁当にも江戸の知恵が隠されていました!
桜の花に元気をもらって、花見は春の儀式!
自然から命をもらおう! 江戸っ子の花見とは?
しかしなぜ? と思うことはありませんか。桜を愛でるなら花の下をみんなでそぞろ歩きするのが一番なのに、と。いいえこれにはきちんとした理由があったのです。盃に桜の花びらとともに花粉をうけて飲む、これです。花粉には生命を作り出す栄養がいっぱい詰まっていますね。私たちも小鳥が桜の花をついばんでいるのをよく見ることでしょう。蜂によって花粉が運ばれ、果実の実りを得ていることもまた知られていることです。江戸っ子にとって大きな盃で散りゆく花びらをうけて花粉と一緒に飲みほすことは、春を満喫するとともに自然から命をもらう、祝いの儀式でもあったということです。
桜の花の下で歌って踊ってのどんちゃん騒ぎには、ちゃんとわけがあったのですね。
花見弁当、実は江戸っ子の知恵が隠れてました
黒豆といえばお正月におせちでも頂きました。ではなぜお花見に黒豆なのでしょうか? 実は大豆に含まれるイソフラボン、そして黒豆の色素アントシアニンです。イソフラボンは尿意を抑える効果があるそうです。お坊さんが修行の座禅中に座を立つことがないように食べたといわれています。花見の最中の用足しも控えたかったのが江戸っ子の心意気だったのでしょうね。アントシアニンは今ではすっかり有名になりましたが、細胞の酸化を抑えて老化を防ぐ効果があります。春の紫外線を浴びる花見にはぜひ食べておきたいと思いませんか? 大豆をタンパク源にしてきた日本人の知恵を花見弁当にも感じることができますね。
落語『長屋の花見』は、お金がなくて卵を買えずに卵焼きの代わりに沢庵を持って行く、というエピソードには庶民の悲哀を感じます。卵焼きの輝く黄色はお弁当の華かも知れません。桜の咲く公園で、土手で水の流れを見ながら楽しむお弁当は、寒さから解放された春ならではのお楽しみ。最近では有名料亭などの豪華な花見弁当の予約も盛況のようです。特別な春には思いきって贅沢してみるのもいいですが、毎年のお楽しみでしたら、いつものおにぎりやおかずに春を感じさせる何かをプラスして、わくわく感を演出してみるのが気軽でいいかもしれません。
さあ、今年のお花見の計画が見えてきたでしょうか?
参考:『江戸めしのススメ』永山久夫