華やかな長崎の「精霊流し」は、夏祭りではない?
本日8月15日は、里帰りしたご先祖の魂を見送る行事として、送り火や灯篭流しが各地で行われますね。みなさんの地域では、どのように見送りますか?
長崎では、毎年精霊流しが行われます。華やかな船や花火、爆竹、鉦の音、多くの観光客・・・夏祭りと勘違いしそうな雰囲気なのですが、お祭りではなくれっきとしたお盆の仏事なのです。
毎年、流される船は、大小1,500隻ほど
現在では、実際に流すことは禁じられており、流し場と呼ばれる終着点まで運んでのち、船は解体されます。
毎年1,500隻ほど流される船は、大小さまざま。大人の男性が抱えて歩けるような小さな船から、10mほどになるものまであります。船の種類は、個人で作ったもののほかに、「もやい船」と呼ばれる自治会などで合同で出す船、病院や葬儀業者が出す船などもあります。最近は、ペットの船もみるようになりました。
爆竹の向うに垣間みえる縁者の思い
印灯篭が船を先導
各船は、長い竿の先に趣向を凝らした灯篭をつけた「印灯篭(しるしどうろう)」と呼ばれる目印を持った人が先導します。この印灯篭には、故人の趣味、嗜好がわかるような絵がか描かれているもの、例えば、麻雀好きだった人は麻雀牌の絵が、お酒好きだった人は、お銚子の絵が描いてあるなど、見物客であっても、故人がしのばれるものです。
船には、西方浄土とか南無阿弥陀仏の文字や仏の絵が描がかかれた帆、家紋のついた提灯、遺影や故人が好きだったものがわかるようなものがいっしょにのっていることもあります。小さなお子さんの遺影や大好きだったであろうぬいぐるみがのっていたりすると、遺族の気持ちに触れ、見物している側もしみじみとしてしまいます。
魔除けの爆竹。必須アイテムは耳栓
箱ごと爆竹が鳴り響く
この爆竹を鳴らしながら船を流すというのは、すみやかに浄土へ送るための「魔除け」の意味があるそうですが、束ごと火をつけたり、箱ごと火をつけてしまう船も多く、その音はもう爆音であり、煙で船がかすむこもさえあります。この1日で、1億円も消費されているとか。(※)この爆竹が、流す側の寂しさを忘れさせることに一役買っているのかもしれませんね。
18時頃から23時くらいまで、船は流れていきますが、見物する側も耳栓がないとままならないので、ぜひ持参していただきたい。もし忘れてしまっても、15日は長崎のコンビニの店頭で売っていますのでご安心を!