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    部活中の落雷事故で中学生2人重体 どう防ぐ?「”空振り”恐れない早めの判断を」【気象予報士解説】

    10日午後6時ごろ、奈良市の帝塚山学園のグラウンドで落雷があり、サッカー部の男子中学生など6人が病院に搬送された事故が発生した。

    事故を防ぐ手段はなかったのだろうか。

    気象予報士の片平敦さんに詳しく解説してもらう。

    ■“空振り”を恐れず早めの判断を

    (Q.今回の落雷事故、防ぐことはできなかったのでしょうか?)
    片平敦気象予報士:なかなか難しいと思うんですが、気象情報を活用して、学校現場ではとにかく“空振り”を恐れない、早めの判断をぜひしていただきたい。

    どういった判断が必要だったのか、今回のケースを振り返りつつ考える。

    今回の事故が起こった奈良市西部には、10日の午前4時32分の段階で雷注意報が出ていた。

    さらに午前5時49分には、奈良県全域に竜巻・ひょう・落雷の注意喚起情報が発表されていた。

    (Q.これはどういう情報?)
    片平敦気象予報士:雷注意報は割と夏場に結構よく出ている印象があると思うんですが、竜巻とか、ひょうとか、落雷こういうものに臨時に注意を呼びかける情報が、気象台から奈良県全体を対象にして、発表されているんですね。

    よく大雨の時に、『あす朝までに降る雨の量は何ミリ』みたいな情報を我々もお伝えしていますが、別に大雨に限らず、そういう災害が起こりそうな気象状況の時には、落雷も含めてそういった情報が、朝の時点で『きょうは気を付けてください』という情報が出ていたわけなんです。

    (Q.落雷の危険度が高くなっていた?)
    片平敦気象予報士:雷注意報が出てる時よりも、さらに一段、気をつけていただきたい状況だったんですね。

    ■雷は「時間の猶予はない」 「雨雲レーター等を活用して退避」

    帝塚山学園によると、午後5時40分ごろ小雨が降り始めたが、一旦止んだために、そのまま練習を続けていた。

    そしてその10分後、午後5時50分ごろに強い雨が降り始め、雷が落ちた。

    サッカー部の顧問は、「練習中断の判断をする間もなく、雷の音が鳴った」と話している。

    (Q.学校側としてはどの段階で、練習中止の判断ができなかったのか?)
    片平敦気象予報士:なかなか簡単な事ではないんです。まず1つ先生のお話としてあったと思うんですけども、『雨が降り出して考える間もなく』っていうぐらいなので、要は雨が降ってきたからやめましょうっていうタイミングだと、もう間に合わない。雷雲は急に発達して、雷が落ちるとその一発目に当たってしまったら、もう本当に時間の猶予はないと言うわけなんです。

    ということは、雨が降る前の段階で判断しなくちゃいけないので、朝の情報を見て、普段よりも心構えを高くしていて、例えば『今日は雨雲が近づくようだったらやめよう』と、学校の関係の皆さんとか、部員の方とか、あるいは保護者の方とか含めて、あらかじめコンセンサスを取っておいて、最近では雨雲レーダーで実際に雨雲が動いてくるのが見られますから、こういったものを見たり、アプリで雨雲が近づいているアラームが鳴るものもあります。こういうものを活用して、雨雲の接近が考えられるようになったら、その場ですぐに退避するという対策をするしか、方法としてはないと思います。

    ■注意報は「一日中継続する」

    (Q.午前に出た注意報や、注意喚起情報はいつまで有効?)
    片平敦気象予報士:注意報は、少なくともこの日いっぱい継続です。呼びかけの情報は、いつまでという期限があるというよりは、『今日は気をつけてください』と、夕方にもう1回『まだ続いてますから気をつけてください』という情報が出続けているので、この情報を見た上で、『今日は危ない日なんだな』という認識を持っていただきたい。

    ■「教員は予兆があれば判断をしなければならない」と亀井弁護士が指摘

    学校全体や顧問が落雷の危険性やリスクをどれだけ共有できていたのかという問題も。

    番組コメンテーターの亀井正貴弁護士は学校の責任についてこのように解説する。

    亀井正貴弁護士:これ結構難しい問題でして、だいぶ昔に最高裁の判例が出ています。大阪府高槻市で同じようにサッカーの試合をグラウンドでやっていたら、雷が落ちて高校生が重傷になったという事案がありました。

    昔は落雷事故については、例えば、向こうで空が光ったから、雨降ったからというので(活動を)止めていたのでは、できないからというので、止めなくてもいいという状態だったんですけど、最高裁判例が『生徒は教師の言うことを聞くしかないから、教師が高い注意義務を持って、適切な判断をしなければいけない』と、初めてこういう事故で責任を認めました。

    ですから、どの予兆の段階で『止めるべきか』という判断を教師は迫られるということです

    学校側には生徒の命を守る取り組みというのを、しっかりと認識して対策を講じてほしい。

    事故のあった学校では、12日午後1時から会見を開くということだ。どういった説明がなされるのか注目される。

    (関西テレビ「newsランナー」2025年4月11日放送)

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