夏の猛暑は紅葉の色づきにも影響する?台風による影響についても解説
日本気象協会では、毎年「紅葉見頃予想」を行っていますが、その主たる中身は"時期"の予想であり、色づきの良さにはあまり言及されません。そこで今回は神奈川県自然環境保全センター協力のもと、紅葉と夏の猛暑の関係についてまとめました。
日本気象協会の紅葉見頃予想は秋の気温がカギ
つまり、見頃時期の予想を行う上では、夏の気温が高くなっても低くなってもあまり予想時期は前後しません。また、紅葉の色鮮やかさについては、後述する理由で、具体的な予想を出すことが困難なため、地域毎に詳細な言及をすることはあまりありません。
とはいえ近年、毎年のように続く猛暑からその辺りどうなんだろう…?と気になる人も多いことでしょう。
適度な”暑さ”が紅葉を鮮やかに?
■鮮やかさについて
夏は暑く、日照が多く、適度な降水があると美しい紅葉になりやすいとされています。
その理由は、神奈川県自然環境保全センターによると「葉の内部で光合成産物がより多く作られるから」とのこと。
ただ、どのくらい
・暑いと良いか?
・日照が多いと良いか?
・適度な降水とはどの程度か?
といったデータが明確に示されているわけではないようです。
また、夏の気象条件だけではなく、紅葉が進む秋の気象条件も関わってくるので、夏の条件だけで判断することはできません。
なお、近年の猛暑を鑑みると、かえってこの暑さが悪影響になるのではないか?というような説もあります。ただ、具体的にどのくらいの猛暑になると悪影響になるのか?といったデータは、これもまた明確には示されていないようです。
「鮮やかさ」というもの自体がそもそも曖昧であり、感じ方に個人差があることも、調査・研究が進まない一因であるのかもしれません。
■見頃時期について
夏の暑さと紅葉の時期を単純に比較すると、夏が猛暑となった時、紅葉の時期は遅くなることが多い傾向にあります。しかし、だからといって「夏=猛暑⇒紅葉遅い」と結論付けてしまうのは短絡的です。というのも、夏が猛暑となった場合、最も影響するとされる「秋の気温」も高くなることが多いのです。
つまり、夏の猛暑だけが紅葉時期の遅れに直接的な影響をもたらしているかどうかは不明なのです。
猛暑の影響は都市部の紅葉スポットに現れやすい?
紅葉狩りをしよう!なると、近場の紅葉スポットに行く方もいれば、遠出して山合いにある紅葉スポットまで足を運ぶ方もいるでしょう。
もちろん、その年の気象条件によって異なりますが、山間部と都市部では当然、山間部のほうが気温は低くなります。そして、夏によく起こる急な雷雨も山間部のほうが起こりやすくなります。
その点を考慮すると、山間部のほうが極度な高温や日射を抑えられるため、猛暑による影響が大きく出るところは多くないと考えられるでしょう。
つまり、裏を返せば都市部の紅葉スポットほど、猛暑となった年には、紅葉の色づきの良さに影響が出やすいともいえるのです。
台風がくると紅葉にも影響が?
特に、風の強い台風が日本に接近・上陸した際には、紅葉にも大きな影響が懸念されます。
その強い風が、葉同士を擦れ合わせることによって、物理的なダメージを負わせてしまうほか、海沿いの地域では海からの風が海水とともに吹き付け、塩害を引き起こしてしまうことが考えられ、色づきの良さに大きな影響を与えることがあるのです。
近年では、2018年台風21号・台風24号などが紅葉の色づきに大きな影響をもたらした台風として知られています。
まとめ
本記事を簡潔にまとめると以下のようになります。
■紅葉の「時期」と猛暑との関係
夏が猛暑となった場合、紅葉が遅れる傾向にあるが、その場合結果的に、秋の気温も高くなる傾向にあるため、夏の気温が影響したのか、それとも秋の気温が影響したのか判別できない。
■紅葉の「色鮮やかさ」と猛暑との関係
適度な暑さは良い影響を与えるとされるが、具体的に何度だったら良い(悪い)影響がある、というようなものは明確にはわかってはいない。
■紅葉と「台風」との関係
台風による強い風によって、葉が物理的なダメージを受けてしまうと色づきが悪くなる。また、海からの風によって、塩害を引き起こしてしまうこともある。
なお、今年の日本気象協会紅葉見頃予想はこちらからご覧いただけます。
tenki.jp 2024紅葉見頃予想
協力:神奈川県自然環境保全センター