春の富山湾に光るホタルイカの不思議
春の風物詩、ホタルイカの沖漬け
そんなホタルイカですが、その生態は神秘に包まれています。その名のとおり、なぜ光るのか? ホタルイカのほとんどが富山で水揚げされること……など、謎が多い生物でもあります。今回はホタルイカの生態に迫ります。
ホタルイカはなぜ光る?
泳いでいるときは、透明感ある姿で
そしてその回答ですが、ホタルイカが体全体を光らせる理由は「外敵から身を守るため」といわれています。
でも、夜の暗い海でホタルイカだけが光りすぎると逆に目立ってしまいそうですよね。でも、海面を照らす月光など、光が反射する効果があるので、その海上の光と同じくらいの光り方をすることで自身の姿を消すことができるのです。これは「カウンターシェーディング効果」と呼ばれるホタルイカをはじめとした深海生物独特の効果、として知られています。
なぜホタルイカは、富山湾に集まる?
ねぶた流しでも有名な富山県滑川の海
富山湾はすり鉢のような地形をしています。また、すり鉢状の底から上に向かって流れる海流も関係してホタルイカが集まりやすい場所ができているのです。さらに、ホタルイカは山陰沖合でも多く産卵しているとされ、山陰沖の水温が高いときは富山湾での漁獲量も多いとされています。ちなみに、今年は10年に一度の大漁ともいわれ、船に一度で積みきれないこともあったのだとか。
神秘的なホタルイカの「身投げ」
富山湾でのホタルイカの身投げは、3~5月に見ることができますが、その条件はいまだはっきりとは解明されていません。新月の夜に見ることができる確率が高いといわれていますが、その他にも様々な気象条件が重なっていないとなかなか見られない貴重な自然現象なのです。
―― 深海にいる生物の中では、わりと親しみやすい存在のホタルイカ。暗い海で光る姿からはその味が想像できないように思えますが、そのおいしさもまた魅力です。今年は大漁といわれるホタルイカ。現地富山とは言わず、全国の食卓で旬の美味しさをぜひ食したいものですね。