ダチョウの衝撃的な婚活とは!?ラクダに似ているのはなぜでしょう〜七十二候<雉始雊>〜
長いまつげも羽毛ですよ〜♪
ダチョウはラクダに近く、その涙は甘いらしい
いだてん‼︎
たしかにダチョウは、鳥なのにまったく空を飛びません。サバンナの乾いた地面を、自動車なみのスピードでひた走ります。砂漠をゆくラクダにも劣らぬ持久力。羽ばたく筋肉はぜんぜんないのに、脚の筋肉はムッキムキ! 鳥の足先はたいてい3つに分かれていますが、ダチョウは2つ…それも地下足袋を履いているかのような形をしているのです。ラクダの足と同じく砂地を走りやすい構造なのですね。歩幅5mともいわれる大股で、つま先を活かしてタッタッタッッと、長距離を二足走行しています。
ダチョウといえばつぶらな瞳。なんと、目玉ひとつがニワトリの卵くらいの大きさで、脳よりも眼球の方が重いのだそうです(なんたって脳の重さは40g)! そしてまぶたとは別に、砂や乾燥などから目をまもる「瞬膜」が付いているのも、ラクダと同じ。ダチョウは視力がとても良くて、5kmくらい先のものも見えるといいます。脳なんてちょっとあればOK、というくらい眼球が高性能なのかもしれませんね。ちなみにダチョウの涙は、うまみ調味料を思わせる?独特の甘い味がするそうです。
すっくと立って敵の姿を発見しだい、駿足で逃走。いざとなれば、鋭いツメがついた足でライオンをも蹴り殺す!! …完全に地上戦仕様です。それなら、あんなにファサファサした翼なんて必要ないんじゃない?という気もしますが、高速で走っているときに方向を変える「舵」的な役目をしたりもするのだとか…そして何より、もっとも重要な用途が!?
ダチョウキングの衝撃ダンス!! 一方奥さんは…
ともに走っていただけませんか
春先から発情期が始まると、オスのくちばしは真っ赤に! 争いに勝って群れの支配者となったライオン、もといダチョウキングは、メスの前に座ると、長い首をくねくねさせながら羽を大きく広げて踊りだします。鳥ならではの恋歌を捧げることもなく、無音声(体に頭をぶつける音がすることも)のまま続く、激しすぎるダンス…くねくね〜バサバサ!! 「悪魔を呼び寄せる儀式のようにしか見えない(ダチョウ博士・塚本康浩先生 談)」。うっかり妖怪ろくろ首(←見てはいけないもの)を見てしまったような衝撃に戸惑う人間たち。しかし、夢中になったメスは、自分も首を地面に伸ばし、口をパクパクさせて応えるのです。「選ばれし者による静けさのなかの圧倒的な派手さ」…そこにはもしや、日本の伝統芸能にも通じる高貴なオーラが!? 求愛ダンスの振り付けが気になる方は「関連リンク」もどうぞ。
そしてダチョウはなんと、求愛されるほうの女子にもリーダー争いがあるようなのです! 晴れて正妻となったメスは、自分が産んだ卵と他の奥さんが産んだ卵をまとめて抱いて孵します。分け隔てなき愛の行為、さすがダチョウクイーンは度量も大きいですね…と、思いきや。じつは、自分が産んだ卵を中央に置き、その周りを囲むように下位の妻たちの卵を配置。もし敵に襲われても、外側の卵から犠牲になるようにとの護衛作戦だったとは(しっかり分け隔ててました)。
卵は、一斉に孵るように全部そろってから温め始めます。昼は茶色っぽいお母さん、夜は真っ黒いお父さんと、風景にとけこむように交代などもしています。まとめて育てることで、生存率やヒナの質を向上させているのですね。ちなみに、キングになれなかったオスと階級の低いメスが結ばれることもあるそうです。ダチョウの翼は、子孫繁栄に重要な役割を担っていたのですね!
ダチョウは人間キングにも愛されてきました☆
愛のオーラが降り注ぎ…
ファッションだけではありません。ダチョウの羽根は静電気をおこさず、静電気も埃も取り除けることから、自動車業界や電子業界ではダスターとして重宝されています。ダチョウは食材としても、また近年「ダチョウマスク」やガン治療薬など医療分野でも注目されている、期待の星なのです☆
かつては世界のあちこちに住んでいたというダチョウ。現在、ダチョウ牧場は日本にもいくつかありますが、野生の生息地はアフリカのみ。絶滅も心配されているのです。たくましい脚とつぶらな瞳の鳥たちが広い大地を元気に走れるよう、応援してあげたいですね。
<参考文献・サイト>
『空を飛ばない鳥たち』上田恵介(誠文堂新光社)
『ダチョウ力』塚本康浩(朝日新聞出版)
『ナショナルジオグラフィック 日本版サイト』
『日本オーストリッチ協議会』HP
『横浜市立 野毛山動物園』HP
地に足のついた家庭づくり☆