オリンピアン 橋本通代、指導者として、母として。
親子スノーボードに求めるもの
スノーボード教室を始めた頃は、保護者のみなさんは、なぜ子供にスノーボードをさせるのだろう? スノーボードになにを求めているのだろう? と考えていました。親子でなにかを始めるときには、なにかしらの動機があると思います。スノーボードになにを求めていて、そして、実際にスノーボードを始めたことで、子供がどのように変化したのか。アンケートからその一部をご紹介させていただきます。
Q 子供にスノーボードを通じて学んでほしいことはなんですか?
楽しみながらチャレンジすること/がんばれば、できるようになるということ/苦手なことにも一生懸命に取り組むこと/目標を諦めないで、最後まで実現しようとする力/楽あり、谷があること/自分で学ぶ力/自然の中で生き生きと楽しむこと/自然のすばらしさ/友達をたくさん作ること/人とのつながりの大切さ/まわりや仲間への感謝 など
Q:スノーボードを始めてから子供がどのように変わりましたか?
何事にも積極的になった/全国に年齢関係なく友達ができた/上達思考になった/我慢強くなった/難しいことやしんどいことも諦めずにやってみるようになった/感性が豊かになった/目標を持ってできないことをできるようになりたいと、がんばるようになった/風邪をひかなくなった など
スノーボードは魔法のじゅうたん
私は19歳でスキーを始めました。それまで得意なことがなかったのですが、スキーではじめて人にほめられて、スキーが大好きになり、スキーのためなら、なんでもがんばれるようになりました。スキーで有名になるために単身カナダに行き、そこで、スノーボードと出会いました。
スノーボードは魔法のじゅうたんのようで、あっという間に私を世界につなげ、人生にとって大事なことをたくさん教えてくれました。そして、その中の一番は“大好きなことに一生懸命に取り組むことのすばらしさ”。そう、このことを子供たちに伝えたくて指導者になったんです。
スノーボードを教材に人を育てる
ふたつめは「ヨコノリ力」。スノーボードはタテではなく、人と人をヨコにつなげてくれる貴重なツールです。最後は「スタイル力」。人と一緒ではなく、個性をよしとするスノーボードだからこそ、個性が育つのだと考えています。
その力を信じて、スノーボードを教材に人を育てる活動を行ってきました。よい環境を作り、よい指導者とともに、スノーボードの楽しさを伝え、大好きなことに一生懸命に取り組む力を育む。そんな活動を16年続けてきたのですが、実際、子供にとって、そのご家族にとって、スノーボードはよかったのだろうか? そんな不安がよぎることがあります。
先日、20代になった卒業生の保護者の方3組に、“お子さんにスノーボードをさせてよかったですか?”と聞いてみました。答えを聞くまで緊張しましたが、みなさんの答えはYESでした。ひとつのことに没頭してがんばれたこと、スノーボードを通じて、たくさんの出会いがあったこと、そして、なによりも親子でたくさんコミュニケーションがとれたことが、なによりもすばらしかったと話してくれました。これはまだ一例に過ぎませんが、スノーボードを通じて、みんなの人生がよりよくなっていくことを心から願っています。
いよいよシーズンイン! 今シーズンもスノーボードを通じて子供たちとじっくり向き合っていきたいと思います。みなさまにとって最高のシーズンになりますように!
橋本通代
KIRARA KAMP代表
1972年7月6日生まれ。大阪府寝屋川市出身、四天王寺国際仏教大学卒業。ソルトレイク五輪スノーボード女子ハーフパイプ日本代表。キッズスノーボードキャンプ「KIRARA KAMP」を主宰するキッズスノーボード指導&育成のパイオニア。2012年から家族で軽井沢に移住。軽井沢を拠点に、スノーボードを教材としたスノーボード育成を全国で展開。