風力発電にイノベーションを仕掛ける台風発電!チャレナジー社 清水社長へのインタビューPR
株式会社チャレナジー代表取締役CEO 清水 敦史
東京大学大学院修士課程を修了後、株式会社キーエンスにてFA機器の研究開発に従事。東日本大震災をきっかけとして独力で「垂直軸型マグナス風力発電機」を発明。2014年10月に株式会社チャレナジー創業。
2014年03月 第1回テックプラングランプリ(株式会社リバネス主催)最優秀賞受賞
2014年11月 TOKYO STARTUP GATEWAY 2014 ファイナリスト
台風発電とは!?次世代につなぐエネルギーイノベーション
2011年の東日本大震災の時に起きた原発事故がきっかけでした。原発の代わりになるものがないかと、色々と調べていく中で風力発電が一番有力だと考えました。ただ、同時に風力発電には課題があることもわかりました。世界中に普及している水平軸型プロペラ式の風車は強風に弱く、多方向の風向きにも対応できないため、台風で壊れてしまうなど、日本の環境に適していないのです。そこで、台風でも壊れない風力発電を作れないか?という考えからスタートしました。さらに、開発を進める中で、台風で壊れないどころか発電できる可能性に気づき、そこから『台風発電』を目標に開発を進めています。
台風でも発電できる『垂直軸型マグナス風力発電機』
TEPIA先端技術館に展示されている垂直軸型マグナス風力発電機
プロペラ式風車が強風に弱い原因はズバリ、プロペラです。そこで、羽のない扇風機もあるのだから、プロペラのない風力発電機も作れるのでは?と考え、模索をはじめました。そこで行き着いたのが『マグナス効果』です。『マグナス効果』とは、野球のカーブボールと同じ原理で、回転する円柱や球が風の流れの中に置かれたときに、その風の流れの方向に対して垂直の方向に力が働く現象を言います。この原理を利用して、プロペラのかわりに円柱を使う『垂直軸型マグナス風力発電機』を開発しました。風の強さに応じて円柱の回転数を制御することで、台風のような強風下でも安全に運転し続けることが可能です。
発電量は・・・ウサギとカメ?
2016年8月7日に台風発電実証実験*を開始したばかりで、現時点ではまだ台風も来ていないため、はっきりとした数字は出ていません。実証実験のため設置した試作機は大きさが約3m、定格容量1kW~2kWほどで、稼働中は最大1世帯分の電気量を発電できると考えていますが、実際動かしてみないと分かりません。
また、発電量を増やすためには、風力発電機の効率や大きさだけでなく、どれだけの時間、発電し続けられるかも重要です。垂直軸型マグナス風力発電機は水平軸型プロペラ式と比べて効率では劣りますが、通常時でも、台風が来ても、止めることなく一定の発電が出来ます。水平軸型プロペラ式は足が速いウサギ、垂直軸型マグナス式はカメだとしましょう。ウサギは一定の風があれば効率よくどんどん発電しますが、台風が来るから止めよう・横風が強いから止めよう、と色々な理由で休みます。一方私たちカメは、回るのはゆっくりで足は遅いのですが、どんな強風や横風であろうと、台風が来ようと、発電を続けます。ウサギが休んでいる間に追いつき・追い越せる可能性があるのです。
台風発電に託す今後のエネルギー発展
将来的には、原子力や化石燃料に頼らず、台風のエネルギーを活用する『台風水素社会』を実現したいと考えています。例えば、より大きな垂直軸型マグナス風力発電機をたくさん並べて、台風を待ち受ける。そうすれば台風が来た時に莫大な発電が出来ますが、莫大な電気は貯めておくことが難しい。そこで、発電した電気で水を電気分解して水素を作り、水素の状態で貯め、エネルギーとして使うことが出来ればと考えています。
台風発電に利用する垂直軸型マグナス風力発電機は、まだ開発段階のためコストも高く、技術的にも実用化への道のりは決して容易ではありません。それでも、その先にある循環型社会を目指す清水氏は、今後の展望を熱く語ってくださいました。台風をデメリットとみるのではなく、メリットと考える逆転の発想から生まれた台風発電。今年の台風シーズンに合わせて、株式会社チャレナジーは沖縄県南城市で台風発電実証実験を行っています。台風が日本付近に近づくたびに、災害というデメリットに注意・警戒が必要ですが、台風発電によって発電されたエネルギーが、私たちの生活を助けてくれる日も近いかもしれません。
tenki.jp内のコンテンツ『日直予報士』では、台風発生時から台風情報について情報発信をしています。また、最新の台風情報は『台風情報』をご参照ください。
*株式会社チャレナジーは2016年8月7日から沖縄県南城市にて台風発電実証実験を行っています。日本気象協会では、風況観測の支援および気象情報に関するコンサルティングを行い、台風発電実証実験の支援を行っています。