大雪山の登山道が荒れている…。原因は最近の大雨。去年の台風が追い討ちをかけた。
チングルマ咲く旭岳
登山初心者から上級者まで。北海道の大自然を体験できる大雪山系。
トムラウシ山を登る
一晩で地形を変えてしまうほどの、一極集中の豪雨。
黒岳の登山道
ゲリラ豪雨という言葉が誕生したように、最近は尋常でない量の雨が、ひとつの地域に一気に降ることがあります。それは、雨が少ない北海道にも当てはまります。あるベテラン山岳ガイドは、「一晩で地形を変えてしまうほどの、ものすごい降り方をする」と話しています。
たとえば、登山道に常に雨水がたまっているため、登山者が道を通れず、やむなく、高山植物が生えている部分を歩いてしまうので、植物が踏まれて荒らされています。また、黒岳近くの登山道では雨水が流れ込み土砂が流出していたため、おととし、木の板を設置して土砂をせき止めようとしました。ところが、大量の雨が降ったため板の両側から泥水があふれ、登山道の脇の斜面が大きく削られてしまいました。登山道そのものがが大きくえぐられているところも多数あります。このような被害が広大な大雪山系のあちこちで起こっており、補修のための予算も人手もまったく追いついていません。
登山道を守るために、登山ガイドが立ち上がった!!
旭岳の姿見の池
そこで、危機感を持った一人の登山ガイドが行政関係者や研究者・登山道施工業者とともにNPO法人を立ち上げ、ボランティアを募って、環境省などが行う補修工事に協力しようとしています。また、実際にどのように補修工事を行うかを学ぶ講習会を開くなど、この夏から、山と登山道を守るための活動が本格的に始まりました。
〈参考文献:小林ほか, 「大雪山北海平における登山道侵食の変化と将来予測」, 日本地理学会春季学術大会, 2017〉
〈参考サイト:NHK NEWS WEB, 2017.07.27, 「大雪山系登山道の荒廃 対策は」〉
〈参考サイト:大雪山国定公園〉
ここ最近の気温の上昇などで、北海道の自然にも影響が出ているようです。北海道に大きな台風が上陸したり、気温が30℃を超える日が増えたりなど、昭和のころにはあまりなかったことが続いています。雨の量が多くなると、さまざまなところに影響をもたらしますが、まさか大雪山のような高い山々にも影響が出ているとは…。これから紅葉などでますます登山者が増える大雪山系。手つかずの自然の姿を守りつつ、登山者が楽しめるよう、登山道の補修が急がれています。
※記事の一部を公開後に修正しています。