道東の豪雨で「タマネギ」ピンチ!! 3つの台風上陸で、畑が冠水。貨物も不通。

観測史上初、1週間で台風が3つ上陸。堤防決壊、土砂崩れなど、北海道東部に大被害。

降水量も平均を大きく上回り、北見市常呂川(ところがわ)では堤防から水があふれだしたほか、釧路市の隣の白糠(しらぬか)町や知床の羅臼(らうす)町では土砂崩れ、各地で床上浸水、JR石北線ではレール下の路盤が流され、一部列車が不通となっています。
日本一のタマネギ生産地で畑が冠水。石北線の寸断で「タマネギ列車」も不通。

「タマネギ列車」に使われる機関車DF200形。
さらに、北見から旭川へタマネギを運ぶ臨時貨物列車、通称「タマネギ列車」が、JR石北線の寸断により、不通となっています。タマネギをはじめ農産物を北見から運ぶ大動脈ですが、JRによると復旧には月単位の時間がかかるとのことで、農業関係者は、これから収穫期を迎える農産物の輸送が滞るのではと懸念しています。
〈参考:北海道新聞2016年8月27日号33面「台風余波 タマネギ高 北見の畑冠水、貨物は不通、道外も不作」〉
「今年のタマネギは高いな…」と思っていたところに台風直撃。カレー店も困った…。

例年の北見のタマネギ畑。
例年だと9月になれば北海道産が出回るので、「いずれ価格が下がる」と、スーパー関係者は客に言っていました。ところが、そろそろ北海道産の出荷が始まり、タマネギの価格が落ち着く…と思っていた矢先のトリプル台風で、タマネギ畑が浸水してしまいました。収穫前のタマネギが水に漬かったため、供給できるタマネギの量が減ってしまうのは必至です。
タマネギを大量に使うカレー店など、外食産業や飲食店では、今年はタマネギが品薄で価格も高く、かといって販売価格に転嫁するわけにもいかず、タマネギの高騰は頭の痛い問題でした。そこにきてのタマネギ畑の浸水被害。一般消費者も飲食店も、今後のタマネギの収穫量と価格がどうなるか、気になるところです。
天候不順で生育が遅れていた十勝の小豆に、さらに台風が。浸水被害で品質や収量が心配。

ホクレンによると、小豆の在庫は足りているとのことで、菓子メーカーなどの需要には応えられそうですが、小豆の価格は少しずつ上がっているようです。和菓子を扱う業者からは、国産の小豆が確保できるか、価格がどれほど上がるのか、懸念する声が聞こえています。
〈参考:北海道新聞2016年8月28日号「十勝など道産小豆 生育遅れに台風追い打ち」〉
北海道に台風が1年に3回も上陸するのは観測史上初めてのことです。それだけでも珍しいことなのに、それが1週間という短い期間に、北海道の東側に集中してしまいました。知床の羅臼では土砂崩れで道路が寸断され、今でも孤立している地域があり、懸命な土砂の撤去が進められています(8月28日現在)。農水省では、現在判明している台風被害の範囲であれば、タマネギの価格に大きな影響はないとしていますが、今後も台風の上陸が続けば、さらに被害が拡大するかもしれません。消費者にとっては、料理に欠かすことができないタマネギの価格が気になりますが、それとともに、道東の浸水した畑や住宅、道路や線路の早急な復旧・復興を願わずにはいられません。