北米でセミが大発生!! 数十億匹の大合唱で電話の声も聞こえない!!
セミ、大量発生!!!!(でも、この子たちは鳴きません)
毎年違った地域で、17年ごと、13年ごとに大発生する「周期ゼミ」
ところが、アメリカで規則的に大発生する「周期ゼミ」は、17年または13年もの長い間を地中で暮らします。そして、不思議なことに、常に同じ場所に同じ周期で大量に発生します。
発生する場所はアメリカの東部~中央部の決まった場所で、ある年はワシントン、またある年はノースカロライナというように毎年違っています。17年周期は主に中東部の北側、13年周期は南側に発生し、17年周期同士、あるいは13年周期同士が、2つ以上の地域で重なることはありません。1年に発生するのは必ず1カ所です(でもたまに、17年ゼミと13年ゼミが同時に発生する年もあります)。つまり、毎年、北アメリカのどこかで、周期ゼミが大量に発生していることになります(発生しない年もたまにあります)。
今年は17年周期のセミが、オハイオ州、ウエスト・バージニア州、ヴァージニア州、メリーランド州、ペンシルバニア州で大量に発生しました。そして、これらの地域ではきっちり17年後、つまり2033年に再び大発生を迎えることになります。
北米にしか生息しない不思議なセミ。体長は2~4㎝と小型
このような周期的な現象が起きるのは不思議なことに、世界の中でも北アメリカの東部または中部だけです。しかし、北アメリカには周期ゼミしかいないというわけではなく、もちろん、“普通のセミ”も生息しています。
2004年は東海岸で50億匹が大発生!! うるさすぎて電話の声が聞こえない!!
セミ、うるさ~い!!
周期ゼミの発生はとても規則的で、2004年はニューヨークやワシントンなどの東海岸が、17年周期のセミの「当たり年」でした。その数は50億匹とも60億匹ともいわれ、日本でもニュースが流れました。「ヤンキース松井選手に思わぬ敵!! 球場のまわりにセミが大発生!!」という新聞記事もありました。
日本のある研究者が1998年、セミが大発生しているミズーリ州に電話をかけると、電話口の女性に「セミがうるさくて何も聞こえません!!」とどなられたとか。また、アメリカのある教授が昔、セミの大群について調べようと群れの中で1時間ほど仕事をしたところ、その後数時間、耳が聞こえなくなったと論文に書いています。
ある人は、セミが大発生する地域とは知らずに引っ越したところ、引っ越した2年後に周期ゼミがあらわれてしまい、庭の並木が一斉に樹液を吸われ、すべて枯れてしまったそうです。引っ越す15年前まではなんともなかったところに、2年後にいきなりセミの大量発生…。不運としかいいようがありません。
なぜ長い間地中にいる? なぜ地域限定? なぜ17年と13年? 謎を解き明かしたのは…
周期ゼミは、なぜ長い間、地中で過ごすのか。なぜ、狭い地域で大発生するのか。そして、なぜ17年と13年という半端な数の周期なのか。ある日本の生物学者が、この周期ゼミを「素数ゼミ」と名づけ、長いこと謎になっていた難問を解き明かし、生物界をはじめ世界中をアッと驚かせました。この謎解きについては、明日18日AM11時のtenki.jpサプリでご紹介しますので、ぜひご覧ください。
参考文献(1):17年と13年だけ大発生? 素数ゼミの秘密に迫る,吉村仁,2008,サイエンスアイ・新書
参考文献(2):素数ゼミの謎、吉村仁,2005,文藝春秋