「蚊柱」 は、“ユスリカ” のメスが結婚相手を見つけるための 「お見合い会場」 !?
群れ飛ぶオスの軍団にメスが1匹で飛び込み、結婚相手を見つける。
「蚊柱」 の正体は 「ユスリカ」。「頭虫」とも呼ばれ、人の頭の上で群れることも。
ユスリカのオスの触覚は、ブラシ状でフサフサしている。
蚊柱をつくることから、「頭虫(あたまむし)」と呼ばれることもあります。蚊柱は、周りにあるものより少し高いところに集まる習性があるので、人の頭の上にできた蚊柱は、人が移動してもついてくることがあります。この現象から頭虫と呼ばれるわけですが、人を刺す蚊ではないとはいえ、逃げても逃げても蚊柱がついてくるのは、あまりいい気持ちではありませんね。
ちなみに、ユスリカの幼虫は通称「アカムシ」と呼ばれ、冷凍アカムシや乾燥アカムシは、アクアリウムの熱帯魚などに便利なエサとして活用されています。
蚊柱はユスリカのオスだけの軍団。そこにメスが飛び込み、結婚相手を探す !!
成虫の寿命は1日から、せいぜい数日ほど。ものを食べる口や消化器が退化しているので、食事を摂ることができません。成虫になり結婚相手を見つけ、交尾・産卵すると、すぐに死んでしまいます。なんとも儚い(はかない)生涯です。
ちなみに、日本で見る蚊柱の大きさはたかが知れていますが、アフリカのマラウィ湖では、高さが10m以上になることもあるそうです。こうなるともう、蚊柱というよりは、蚊の竜巻といった感じです。
蚊柱は水のあるところに発生する。川や側溝、庭のバケツの水にも。
しかし、蚊柱は川や湖だけでなく、空き地や庭で見かけることがよくあります。それは、近くに水がたまっているところがあるからです。家の周りに蚊柱ができていれば、なんらかの水があるはずです。側溝、用水路、大きな水たまり。庭に放置されているバケツの水や、雨どいにたまった水など、ちょっとした「水たまり」に産卵する場合もあります。
ただ、ユスリカは、ダニのように死骸がアレルギーを引き起こす原因になることもあります。家にユスリカが侵入する場合は、家の近辺にある水たまりをきれいにして、蚊柱ができないようにすることが大切です。また、室内をこまめに掃除して、ユスリカの死骸を除去することも、アレルギーを防ぐために有効な対策です。
ユスリカの幼虫は川の魚のエサになるだけでなく、川底の有機物を食べるので、川の水質の栄養が豊富になりすぎないように役立っています。また、成虫はクモのエサになるなど、生物の生態系にしっかりと組み込まれています。蚊のように人を刺して血を吸うこともない、ただの羽虫のユスリカ。成虫は交尾・産卵するだけの、わずか1日の命…。そう思うと、今まで、しかめっ面をして見ていた蚊柱ですが、少しだけやさしい気持ちになって蚊柱を見てしまうかもしれませんね。