古代メソポタミア人も重用! エベレスト登山隊の疲れも癒した「ミント」の話あれこれ!

独特の清涼感を与えてくれるミント。ハーブティーでもおなじみですね
消化の促進をはじめ、咳を鎮める効果、殺菌効果があるとされ、古くから人びとに愛されてきました。その原産地は地中海とも東北アジアとも言われ、旺盛な繁殖力から今や世界中に広がっています。
ガム、キャンディなどでおなじみのほか、最近では「ミントの葉をたっぷり入れたモヒートが最高!」という方も多いのでは? そんなミントの歴史に迫ってみました。
ミントの種類は、なんと600種類以上!
そんなミントの種類は、大きく「スペアミント系」「ペパーミント系」の2つの系統に分けられます。
スペアミントは甘みのあるマイルドな香り。生のハーブとしてスーパーマーケットの店頭に並んでいるのは、多くがスペアミントです。
一方、ペパーミントはスペアミントよりも香りが強く、香水やハミガキ、リキュールの香りづけなどによく使われます。
古代メソポタミアから始まった? 人間とミントのつながり
中世ヨーロッパでもミントは愛用され、たとえばフランク王国のカール大帝(シャルルマーニュ)は、栽培すべきハーブの一つとしてミントを挙げています。ハーブは薬用や食用のほか、悪臭を抑える目的でも重宝されていました。
インフラが整備された現代と異なり、当時は「清潔な環境を保つ」ことが一大事だったのです。王侯貴族は、香りのよいハーブを床にまく専門の係(ストリューワー)を雇っていたと言われます。
エベレスト登山の疲れを癒した、ミントのお菓子
軽量でかさばらず、手軽にエネルギー補給ができることから、多くの探検家、登山家に採用されました。エベレストに初登頂したことで知られるエドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイも、このミントケーキを携行していたそう。夏山のハイキングには、ミント味のお菓子を用意して、いにしえの登山家気分にひたるのもいいですね!
日本にも、もちろんあります! ご当地ミント
日本のミント、と言って思い出すのは北海道・北見。物産展などで「ハッカ飴」や「ハッカ油」を買ったことがある方も多いのではないでしょうか。そんな北見でハッカ栽培が始まったのは明治時代のこと。一時は世界的な産地になるほど発展しましたが、外国産のハッカ、合成ハッカの登場で生産は激減。また、岡山県もハッカの一大産地でしたが、北見と似た経緯で衰退してしまいました。しかし、天然素材や地場産品が見直されるようになって、国産ハッカは再び注目されています。ハーブティーやハッカ入りのコスメ、ウェットティッシュなど、時代のニーズに合わせた新商品が開発されているのも、その一因かもしれませんね。
最後にご紹介するのは、新潟県・魚沼に伝わる「ハッカ糖」。
かつて和ハッカの自生地があったことから、ハッカを使ったお菓子が作られるようになったのだそうです。探せばまだまだありそうな、日本の食文化に根づいた「ミント」。
そういえば平安時代には、ハッカは山菜として食卓に上っていたそうですよ。
この夏、ハーブティーやミントティーを飲む機会があったら、知られざるミントの歴史にぜひ思いを馳せてみてくださいね。
参考:ゲイリー・アレン著(竹田円訳)「ハーブの歴史」、金城盛紀「読むハーブは美味しい」、農山漁村文化協会編「地域食材大百科」