しし座流星群2024 今年は観測条件は△ 「最速」の流星群を観測するコツは?
明るい流星の出現が多く、また主要な流星群の中で最もスピードが速い流星群とされています。
流星の観察には、流星群の活動の動向だけでなく、月明かりや天気などの影響も考えておく必要があります。ポイントを押さえて星空観察を満喫できるよう、この記事ではしし座流星群に関するお役立ち情報を紹介します。
しし座流星群2024の見頃はいつ?
■しし座流星群2024の見頃
今年のしし座流星群の観測は、下記の時間帯がおすすめです。
★11月17日の夜おそく~18日明け方にかけて
■根拠①「極大」
今年のしし座流星群の極大(天体活動のピーク)は、11月17~18日頃と予想されています。
■根拠②「月明かりの影響」
天体観測には、月明かりの無い真っ暗な夜であることが望ましいです。
しかし今回の極大時、11月17~18日の夜は、ほぼ満月の月が闇夜を一晩中照らしてしまいますので、条件はあまり良いとは言えないでしょう。
■根拠③「放射点」
流星群の流星が四方八方に流れるその中心となる点のことを「放射点」と呼びます。
しし座流星群の放射点は、11月17日23時頃から昇り始め、18日朝6時頃に最も高度が高くなる見込みです。
■1時間あたりの流星数
最高の条件で観測できた場合、1時間に最大で15個程度の流星が観測できる可能性があります。ただ今年の観測条件は月明かりの影響であまり良いとは言えないため、1時間に3個程度となるでしょう。
しし座流星群の特徴・魅力は?
しし座流星群の流れ星の速度は秒速約70km。主要な流星群の中で、最もスピードが速い流星群とされています。
流星物質(流星の元となる小さな天体)自体の流れの速さは、速いもので秒速約40km程度です。この流星物質は、秒速約30kmである地球の公転とほぼ正面衝突するため、地球大気へ流星物質が衝突するスピードが秒速約70kmに及びます。スピード感あふれる流れ星を見逃さないようにしたいですね。
■「火球」の観測チャンスあり
明るい流れ星が出現しやすい点も、しし座流星群の特徴のひとつ。「火球(かきゅう)」と呼ばれる、ひときわ明るい流れ星を観測できるチャンスです。
■「流星痕」の観測チャンスあり
明るい流れ星が流れた後、その軌跡上に淡く輝く雲のような痕跡が残ることがあります。「流星痕」と呼ばれるこの現象は、特に -3等級(※2)以上の火球にともなうことが多いといわれています。そのため、火球が多く出現するしし座流星群では流星痕の観測チャンスがあります。
「そんなにスピードが速いなら、流れ星を見るのは難しそう」と感じている方もいるかもしれませんが、流星痕は数秒から、ときには数十分にもわたって輝き続けるといわれています。流星痕をともなう流れ星を観測できれば、流星が流れたあと(後・跡・痕)の余韻まで楽しめるでしょう。
※2:天体(星)の明るさは「等級」という単位で表します。値が小さいほど明るく、大きいほど暗くなります。1等級の差で約2.5倍明るさが違います。目で見える最も明るい星(1等星)は、おおいぬ座の α星シリウスで-1.4等級です。満月は-12.7等級、太陽は-26.7等級です。
しし座流星群2024の見どころとおすすめの観測方法
今年は11月6日〜11月30日にかけて活発となり、11月18日頃に極大となる予想です。月明かりの条件は良くないですが、17日~18日夜の観測がおすすめです。
■しし座流星群の放射点はどこ?
しし座の γ(ガンマ)星、アルギエバ(たてがみ)のそばにあります。
■観測する方角
流星群は、放射点を中心に四方八方へ放射状に飛び出すように流れて見えます。夜空のどこにでも出現するため、一点ではなく空全体を眺めることがポイントです。「しし座はどこだ~?」と探して一点を見つめるより、空を広く見渡すほうが、より多くの流星を捉えやすくなります。
■観測する場所
観測場所には、なるべく街明かりが少なく、空を広く見渡せる開放的な場所を選びましょう。人工の明かりが多い場所では、明るさに邪魔をされて流星が見づらくなる恐れがあります。目が暗さに慣れるまでには時間がかかるため、最低でも15分間は観察を続けるようにしましょう。
■観測する方法
天文現象の観測というと「望遠鏡が必要?」と考えがちですが、流星観測には肉眼が一番おすすめです。望遠鏡は天体像を拡大して見るための道具であり、流星のように広い範囲の現象の観測には不向きです。しし座流星群は、ぜひ肉眼で観察してください。
そもそも、しし座流星群って一体どんな流星群なの?発生源や歴史をチェック
しし座流星群の母天体は、テンペル・タットル彗星です。
現在に至るまで、数々の流星嵐(※3)が観測されていることで知られるしし座流星群。1799年、1833年、1866年、1966年などには、激しい流星嵐の観測事例があります。
流星嵐が観測されるタイミングには、母天体の公転周期が関係しているのではないかと考えられています。約33年周期で流星の出現数が増減することから、活動する時期と低調な時期との差が大きいことも特徴のひとつです。
また、しし座流星群には「ダスト・トレイル理論」と呼ばれる新しい予報手法が活用されています。1999年から2002年に観測された流星嵐や流星数の増加に関する予報は、ほぼ的中。予報どおり、2001年には日本でも1時間あたり1000個を超える流星が観察されました。当時、多くの人が流星嵐に遭遇して話題となりました。
しし座流星群と検索すると、「今年」「2024」のほかに「2001」というキーワードが候補に出てくるのは、未だにその時の記憶が強く残っている方が多いからでしょう。
■最近の1時間当たり出現数は?
一方、2003年以降のしし座流星群は、出現する流星数がかなり減少しています。
2024年のしし座流星群における流星の出現予想数は、1時間に最大でも15個程度。2001年の1時間あたり1000個という出現数に比べればどうしても「少ない」と感じてしまうかもしれません。
とはいえ、少ない観測チャンスを捉える感動や喜びには特別感があるものです。流星に興味がある方は、ぜひ2024年の観測にもトライしてみてくださいね。
※3:流星数が多くなり星が雨のように降ってくることは「流星雨」、さらにそれよりも多くの流星が流れる場合は「流星嵐」(1時間あたり数千個~数十万個以上)と呼びます。
明るく輝く流星を見られるチャンス!しし座流星群をじっくり観測してみよう
参考:国立天文台、AstroArts