実は登山に役立つ情報が満載!天気図を読むポイントを解説
天気図から読み解ける空気の流れ
実は、風の流れは、天気図から読み取ることができます。天気図上には等圧線が引かれ、等圧線が閉じている所が高気圧、または低気圧です。このうち、高気圧からは時計回りに風が吹きだし、低気圧には反時計回りに風が吹き込んでいます。さらに、等圧線の間隔が狭いほど強い風が吹きやすいという特徴も覚えておくと、風向きや風の強さの傾向が天気図からざっくりと把握できるようになります。
等圧線の形は、温度の情報も含んでいます。例えば、冷たい空気は圧縮されて、周囲に比べて気圧が高まります。冬のロシア極東に出現するシベリア高気圧はとても冷たい空気をため込んでいるので、ときに1060hPaという気圧の高い高気圧になることもあるほどです。
また、次の項目で紹介するオホーツク海高気圧も、冷たい空気を持った高気圧です。高気圧の勢力が強まると、気圧の高いエリアが関東付近に張りだしてきて、等圧線の形がゆがみます。このとき、周囲に比べてヒンヤリとした空気が、高気圧から吹きだす風の流れに乗って関東に吹き付けます。
雲海に期待!オホーツク海高気圧の張りだし
オホーツク海高気圧は、日本の梅雨の時期に現れることが多い高気圧です。上図のような気圧配置になると、東北の太平洋側や関東地方は低い雲に覆われてシトシトとした弱い雨が降りやすく、気温もなかなか上がりません。いわゆる梅雨寒の天気になることが多い気圧配置です。ただ、雲の頭の高さは低いので、高い山を雨雲が越えられないケースがよく見られます。衛星画像では、雲が太平洋側にせき止められ、日本海側はスッキリ晴れている様子がうかがえます。日本アルプスのような高い山では晴れて、雲海が期待できる気圧配置でもあるのです。
THE DAYから嵐へ 日本海の小さな低気圧
ただ、この晴天は長続きしません。低気圧が日本海を進み、沿岸部に近づくと、山の天気は急激に崩れ、雨や雪が降り出します。また、風も強まって嵐になることがあり、山にとどまっていると遭難のリスクがある天気変化です。
こうした「嵐の前の静かな天気」は疑似好天と呼ばれ、過去に遭難事故も発生しています。現在の天気がどれほど良くても、それが長続きするものなのか、それとも疑似好天なのかを天気図から見極めるようにしましょう。
天気を知って安全な登山を!
それでも、天気図を確認してから天気予報を見ると、天気マークの納得度も段違いのはずです。天気の理由を知ることは、とても大切なことなのです。ぜひ、日常的に天気図を活用してほしいと思います。天気ひとつで、楽しい思い出が一瞬で辛く苦い思い出に変わってしまうこともあります。天気をよく把握して、安全に登山を楽しんでくださいね。