かつて気象庁で観測していた「こたつ初日」 現代版「冬物コート初日」を東京で観測してみました
消えゆく気象庁の観測
水戸地方気象台に残っている「生活季節観測」
このため、来年(2021年)1月から、気象庁では全国の気象台・測候所58地点で観測していた「生物季節観測」の中から、地球温暖化など長期の気候変化や一年を通じた季節変化やその遅れ進みを全国的に把握することに適した代表的な6つの種目にしぼって観測をしていくことに決まりました。
そんな気象庁ですが、かつては、人々の生活を知るための「生活季節観測」という観測もしていました。この観測は、「生物季節観測」スタートしたのと同じ1953年からはじまり、1963年まで行われていたものです。
かつての生活季節観測とは?
当時の観測結果(水戸地方気象台)
その項目は、規定種目と参考種目に分かれていて、
規定種目は、下記の5つ。
・夏の服装(裏地のない薄手の服)
・冬の服装(裏地のある厚手の服)
・蚊帳
・火鉢
・こたつ
参考種目は、下記の4つでした。
・手袋
・外套
・ストーブ
・水泳
これらの項目について、街の人の2割が使い始めたら「初日」とし、気象台や測候所の担当者が記録していました。観測の仕方は、担当者が自分の街での様子や知り合いなどの状況から判断するというものだったそうです。
現在も記録が残っている水戸地方気象台の資料(1953年から1963年)によると、外套(コート)は11月上旬から12月上旬に初日を迎え、3月中旬から下旬に終日を迎えています。
現代版「生活季節観測」を実施
冬物コートを着ている人の割合と天気
方法は、日本気象協会のあるサンシャイン60ビル(池袋)のエレベータホールを午前9時から10時の1時間に通る人の服装を観察し、コートを着ている人の割合が、全体の2割を超えたらコート初日にするというものです。今回の観測で、コートとしてカウントするのは、冬物のコートやジャンパー、ダウンジャケットです。(トレンチコートや薄手のウィンドブレーカーなどは除く)
その結果がこちらの表です。
実は、この調査をする前の天気予報では12日の気温はこの時期としては低くなる予想で、翌日は、寒さが緩む予想でした。朝の冷え込みが厳しくなるため、12日に冬物コートを着てくる人が増えるのでは?という意見もありました。
ところが、実際には、翌日の13日に2割を超え、2020年の東京でのコート初日は、11月13日ということになりました。13日は、天気予報でも、12日よりも気温が上がる予想でした。それにも関わらず、コートを着てくる人が13日に2割を超えた理由は、寒かった12日を体験した人たちが、慌てて冬物のコートを着はじめたのではないかと推測できます。
天気予報より実際の体感?
気温と服装の目安
その割合を詳しくみてみると、12日に冬物のコートを着ていた人は、前日の11日に比べて4%増えたのに対して、13日に冬物のコートを着ていた人は、前日の12日に比べて7%も増えていたことが分かります。この結果から、台風や大雨などの災害と違い、服装については、自分で体験してから、準備をするという人の方が多いのではないかと推測できます。皆さんの場合は、いかがですか?