将軍と文豪が愛した古社「根津神社」にて、明日9月19日と20日、「例大祭」開催!
緑豊かな根津神社(国の重要文化財)。都会の癒しスポットとして仕事の合間に訪れる人も多い
春はつつじまつり、秋は例大祭と下町まつりで賑わう神社は、歴史的にも貴重な遺産であり、さまざまな文学者たちにも愛されてきました。
そこで今回は、根津神社の見どころとあわせて、約7000坪におよぶ広大な境内で催される秋のイベントをご紹介!
今週末は、江戸三大祭のひとつといわれる「津神社例大祭」に、みなさんも足を運んでみませんか。
神様と仏様をいっしょに祀る“権現社”
根津神社の境内にある乙女稲荷へ向かう参道の鳥居道
東京の「下町めぐり」の代表格ともされる土地柄、この頃では外国人観光客が大勢訪れる一大観光地ですが、ガイドブックを片手に、路上で昼寝をする猫と一緒に写真撮影を楽しむ、“ツウな”観光客の姿もよくみかけます。
実はこの根津神社、もともとは“根津権現”とも呼ばれ、神様と仏様をいっしょに祀(まつ)っていました。
この地域の歴史について記された『根津志』によると、かつて本殿には須佐之男命(スサノオ)とその本地仏である十一面観音菩薩、相殿には山王権現(比叡山の神)と八幡神を祀っていたのだそう。神様の正体は仏様でもあると考え、その両方を祀る昔ながらの「神仏習合」の形式をとった神社だったのです。
“権現”とは、化身として「化けて現れる」こと。
昔の日本人は、神様は仏様が姿を変えて仮に現れたものに違いない……と信じていたようです。根津神社は、今となっては“神社”という呼び名ですが、もとは“権現社”であり、昔の人々は神々の姿の奥にある諸仏の姿をイメージしていたのではないでしょうか。
明治時代に神と仏を切り離した神仏分離令で、“権現”の呼び名は一時禁止されてしまいましたが、それ以後も地元では“権現様”という愛称でずっと親しまれています。
根津神社は谷根千エリアの文化の中心!
その後、太田道灌(どうかん)により中興され、五代将軍・綱吉により、その子(六代将軍・家宣)の産土神として祀られました。
家宣が生まれた場所もここであり、今もその胞衣(胎児を包んだ膜と胎盤)を埋めた塚が残されています。
見どころはなんと言っても、綱吉が建造した約300年前の「権現造り」の社殿。
本殿と拝殿を一つの建物の中に設置し、石の間でつないでいるのが特長です。
この社殿は、江戸時代の建築様式を伝える建築物としては、太平洋戦争で被災しなかった貴重なものであり、国の重要文化財に指定されています。エントランスの楼門もまた見どころであり、なんでも東京で江戸時代の楼門が残っているのは、根津神社だけなのだとか。
漱石や鷗外が腰掛けた「文豪憩いの石」も一見の価値あり
近隣の人々の例年のお楽しみ。境内で見られる満開のツツジ(春季)
現在は水飲み場として利用されている台座は、森鷗外が1904(明治37)年に日露戦争の戦利砲弾を飾るために奉納した台座であり、裏側に「陸軍医監 森林太郎」の銘が。
漱石や鷗外が腰掛けたという「文豪憩いの石」も一見の価値ありです。
歴史的な見どころが多い根津神社ですが、国内の代表的なツツジの名所としても知られています。毎年4月から5月にかけて行われる「文京つつじまつり」では、境内の「つつじ苑」が公開され、およそ100種類、3000株もの満開のツツジを見ることができます。
そして、今週末の9月19日(土)、20日(日)には、根津神社にて「例大祭」が開催されます。
谷根千エリアの文化の中心でもあり、春も秋も楽しめる、見どころ盛りだくさんの根津神社。
この「例大祭」を機に、将軍家にも、文学者たちにも愛され、東京の下町を見守り続けている古社に、ぜひ訪れてみては!
【根津神社】 所在地:東京都文京区根津1-28-9
アクセス:東京メトロ千代田線根津駅、千駄木駅より徒歩5分
明日はひと足早く、根津神社を取り巻く魅力あふれる谷根千エリアで開催される「根津・千駄木下町まつり」についてご紹介します。お楽しみに!