東京23区内に牧場が!? 都会の貴重なオアシス「小泉牧場」を訪ねて、大人の社会科見学!
サイロが目印の小泉牧場と飼育されている牛(左下は子牛)
場所は東京都練馬区、その名を「小泉牧場」といいます。
牧場といえば、広大な敷地を想像しますが、決して広くはない土地で、牛が草を食み、乳を搾る……そんな光景が繰り広げられているのです。
この度、縁あって小泉牧場を訪ねる機会がありましたので、大人の社会科見学としてご紹介します!
駅から歩ける場所に本当に牧場があった!
小泉與七さんとお産を控えたお母さんホルスタイン
入り口には牧場のシンボル、サイロがド~ンと鎮座し、周辺には干し草やワラが。ぬかるんだ土の感触……。
アスファルトに慣れた足には歴然とした違いが感じられ、あたりにはそこはかとなく独特の匂いが漂ってきました。
敷地に入って左側を覗くと、ふと目があったのは大きな牛!
うっわ~、ほんとに牛がいる!
しかも、牛ってこんなに大きかったっけ?と、目を疑いたくなるほどの大きさに大興奮。
その傍らで、にこやかな笑みを湛えて出迎えてくれたのが牧場の経営者、小泉與七(こいずみよしち)さんでした。
のんびりゆったりの都会のオアシス
すぐ横には数カ月ほど前に生まれた子牛がなんと3頭も! かわいい! 思わず声が出ます。
興味津々な様子で顔を出し、目を大きく見開いてきょろきょろしている子牛たち。油断するとベロンと舐められてしまいそうでした。大きな舌! あれが牛タンね、なんて思ったりして(失礼)。
大きな牛舎の中はちょうどお掃除中だったので、中には入れませんでしたが、約40頭いるという牛たちはみなゆっくりのんびりモードでくつろいでいて、ここが23区内だと言うことを忘れてしまうほど。
さながら都会のオアシス! 平和でのどかな雰囲気に包まれていました。
唯一残ったからこその苦労と、うれしい招待状
牛がたくさん!みんなのんびりしています
與七さんの父が開業し、今は息子の勝(まさる)さんが3代目として受け継いでいるのですが、経営には大変な苦労があったそうです。
かつては多くの酪農家や農家が存在していた練馬区。
経済成長と共に牧場や農地は姿を消し住宅地と化していきました。
唯一残った小泉牧場は匂いや鳴き声などに対する苦情が相次ぎ、困っていたと言います。
そこで、小泉牧場では近所の学校からの見学や体験学習を受け入れることにしました。
地元の小学生たちとの触れ合いを通じて、近隣住民の方からの畜産への理解も徐々に深まっていったのだそう。
今でも小学生が牧場見学や牛の世話にやってきては、牧場で学んだことを発表する会に招待してくれるそうです。
與七さんが子どもたちからの招待状をうれしそうに見せてくれました。
名物のアイスミルクが美味しい!
左がクリームチーズ、右がチョコチップのアイスミルク
絞りたてのミルクが飲めるのかと思ったら……残念ながら絞った生乳は販売できないのだそう。
生乳は農協に卸しているそうなので、もしかしたら、私たちは知らない間に「小泉牧場」の牛乳を飲んでいるかもしれませんね。
道路を隔てた向かいの小屋では小泉牧場のアイスミルクを販売中!
1個300円で、バニラなど全部で7種類ありますが、人気のためすぐに売り切れてしまうらしく、この日の在庫はクリームチーズとチョコチップだけでした。
さっそくいただいてみると、美味しい!
濃厚なミルクの味わいながら、さっぱりした後味です。
目の前にいた牛のミルクから作られていると思うと、深いありがたみを感じました。
── 命の尊さや食の大切さを学ぶ食育の場として、今や貴重な存在となっている小泉牧場。
この日も保育士の方たちが見学に来ていました。交流を通じて、子どもたちの将来を考えるようになったという與七さんのお話が印象的でした。
すぐ近所には東京初のワイン醸造施設もありますので、気になる方はぜひ大人の社会科見学に行ってみてくださいね!