ミドリムシは食物か、化粧品か、燃料か? 話題のミドリムシについて調べてみました
飛行機がミドリムシ燃料を使って飛ぶ日はそう遠くない?
小学校の理科で習ったことを思い出しますね。
遠い記憶によると、ムシとはいえ光合成をする生命体だと習ったような……。
役に立つというより、ちょっと気持ち悪いイメージでしたが(失礼!)、最近はサプリや化粧品に加工されている他、バスや飛行機を飛ばす燃料になるのだとか。
いったいミドリムシの何が世間を騒がせているのでしょうか。
気になるミドリムシを調べてみました。
ミドリムシとは?
“ムシ”という名前が付いていますが、実は「藻」の仲間。
ワカメやコンブと違うのは、鞭毛で動物のように動くこと、さらに、植物のように光合成ができるという、動物と植物両方の性質を兼ね備えていることです。
5億年以上前の太古の昔に誕生したといわれ、近年では宇宙開発や医療などの分野での研究が進んだ結果、ビタミンやミネラルなどの豊富な栄養素を含むことがわかってきました。
さらに研究や開発が進み、ユーグレナ社でミドリムシの大量培養が可能になったことで、化粧品やサプリメントなどが作りだされ、世間の注目を集めることとなったのです。
59種類の豊富な栄養素を含む
ミドリムシは地球を救う救世主?
その内訳はビタミン類14種類、ミネラル9種類、アミノ酸18種類、不飽和脂肪酸11種類、その他の成分が7種類と人間の健康を支えるために必要な栄養素ばかり。ミドリムシひとつで、野菜や魚、肉などに含まれる栄養素がバランスよく摂取できるわけです。
特筆すべきはミドリムシ特有の成分「パラミロン」という食物繊維の一種。スポンジ状に開いた穴が余分な油などを吸収するはたらきがあり、生活習慣病などの予防に役立ちそうだと期待が高まっています。
また、ミドリムシは野菜などにある細胞壁がないため、消化率が高いのも特長です。
バランスよく豊富な栄養素を効率よく取れること。これが他の食材にはない大きな利点です。
光合成で地球温暖化に役立つ
この観点からも大注目を浴びているのが、ミドリムシによるバイオ燃料。
光合成の際に作りだす脂肪酸という油分を抽出・精製して作るもので、いすゞ自動車とユーグレナ社が共同開発したバイオ燃料で試験走行が始まりました。2014年7月から、いすゞ藤沢工場の車用バスが走行中。軽油にミドリムシで作った燃料を5%以下ほど混ぜているそうです。
ミドリムシで空を飛ぶ
バイオジェット燃料を作る工場を建設し、2018年に稼働、2020年には実際に運行する飛行機に搭載するというプロジェクトです。
航空機が飛ぶには大量の燃料を使います。その際に二酸化炭素を排出するため、地球温暖化を進める可能性が指摘されていますが、バイオ燃料を使用することで二酸化炭素を増やすことなく環境に優しいフライトが可能になります。ミドリムシから作ったバイオ燃料をケロシン(ジェット燃料)に約10%混ぜて使う予定で、「国産バイオ燃料計画」として、ユーグレナ社をはじめ、ANA、伊藤忠エネクスなどの企業が参画しています。課題である製造コストを下げることができれば、ミドリムシ100%フライトが実現する日もそう遠くないかもしれません。
食料としての栄養補助、水質浄化、二酸化炭素の固定、バイオ燃料など……限りなく広がるミドリムシの活用。
地球を取り巻く環境はもちろん、我々人間にとって、ますます関係が強まっていきそうなミドリムシからこれからは目が離せなくなりそうですね。
参考:ユーグレナ社HP