天候に左右された「はやぶさ2」。 ロケットの打ち上げに影響するものとは?
2020年の地球帰還が待ち遠しい!
天候の悪化が予測されたため、当初の打ち上げ予定を二度延期しての成功です。
宇宙へ飛んでいくのですから、地球のお天気はあまり関係ないように思えますが、実は大あり!
ロケットはとても繊細なため、打ち上げには細心の注意が必要なのです。
ロケットとお天気との関係、そしてさらなる影響にはどんなものがあるかをまとめてみました。
打ち上げを阻む気象条件とは
天候に関することだけでも10項目以上の制約があるほか、発射台へ機体を移動するときにも同等の基準が定められています。
「はやぶさ2」の打ち上げ予定は当初、2014年11月30日(日)13時24分48秒(日本標準時)でしたが、種子島宇宙センターの上空に、規定(1.8キロ)を超える厚さ6キロの氷結層のある雲が予想されました。
この雲は雷を誘発する恐れがあり、電子機器等が影響を受けて正常に飛行できない可能性があるとして、打ち上げは延期となったのです。
再設定は2014年12月1日(月)の13時22分43秒に決定しましたが、今度は打ち上げ予定の時間帯にかけて制限風速20.9m/s(最大瞬間風速)を超える強風が予測されたため、再度打ち上げが延期となってしまいました。
その他にもあるたくさんの制約とは
打ち上げ日は諸関係機関と調整して設定するため、決定の日から中2日を開ける必要があります。そのため、もし天候条件をクリアしても、予定日の翌日に打ち上げることはできません。
さらに、軌道の都合上、12月9日までの打ち上げがマストでした。
限定される打ち上げ期間、続く悪天候……今回の打ち上げは2度も天候に阻まれ、さぞかし関係者は肝を冷やしたに違いありませんが、焦って打ち上げて何かあったら大変です。
宇宙開発には莫大な費用がかかっていますから、何事も慎重にしなければなりません。
秒単位で打ち上げ時刻が決められているのも、すべて正しい軌道に乗るため。ほんの1秒でもタイミングを逃すと軌道がずれてしまい、それを修正するために貴重な燃料を費やすことになってしまうのです。
数々の難関をクリアして未来を拓く
「はやぶさ」は数々の苦難に襲われながらも見事にミッションをこなしました。
その感動は数社で映画化されたのでご存じの人も多いことでしょう。
「はやぶさ」の経験を生かしてさらにパワーアップした「はやぶさ2」の目的は、小惑星「1999 JU3」を探査してサンプルを持ち帰ること。2018年の夏には小惑星にたどり着き、約1年半滞在して探査をします。
地球に帰還するのは、ちょうど東京オリンピックが終わった後、2020年の末頃の予定です。
人類の夢と希望を乗せて、遥か彼方へ飛び出して行った「はやぶさ2」。
太陽系の誕生の謎に迫ることができるのか? 今後の活躍が楽しみですね。