花粉大量飛散のサイン「花粉光環」 なぜ虹色の光の輪が出現?
花粉光環は見た目には美しく幻想的である一方、「悪魔のサークル」とも呼ばれています。そもそも花粉光環とは一体何なのでしょうか。そしてなぜ、虹色の光の輪が出現するのでしょうか。
この記事では、花粉光環について解説します。太陽の周りに虹色の光の輪が見える理由から、観察時の注意点、花粉の飛散量が増えるタイミングまで知ることができます。
虹色の見た目は美しく幻想的!花粉光環の正体はいったい何?
ある論文によると、1990年の始めにフィンランドのアマチュア天文家が晴天の日に見られる光環に気がつき、空中花粉との関連性が考えられるようになった、とのことです。花粉光環という言葉が広く使われるようになったのは、比較的最近になってからのようですね。
太陽の周りで虹色に光り輝く花粉光環は幻想的にも見える一方、「悪魔のサークル」と呼ばれることもあります。花粉光環が出現するということは、花粉が大量に飛散しているサインともいえます。美しい虹色の光の正体が「大気中に舞う大量の花粉」と知ると、花粉症の方は特に恐ろしく感じてしまうかもしれませんね。
なぜ太陽の周りが虹色に?花粉光環で光の輪ができる原理を解説
花粉光環が花粉によるものであれば、なぜ虹色のリング状に光って見えるのでしょうか。
光環は、花粉などの小さく、大きさの揃った粒子が空に舞うときに起こる大気光象です。太陽の光が花粉の粒にぶつかって回折(回り込んで進むこと)すると、太陽の周りをほぼ同心円状に、七色の光の輪ができます。花粉の粒子で太陽の光が曲げられることによって、虹色のリングが出現するのです。花粉だけでなく、黄砂が舞う空には「黄砂光環」が見られることもあります。
虹色の輪が二重三重に広がって見える様子は美しくもありますが、太陽の光を直接見ることは非常に危険です。太陽を手や指、または周りの建物や標識などで上手に隠しながら花粉光環を観測するようにしましょう。
花粉光環が出現するかも?花粉の飛散量が増えるタイミングとは
日本列島に広く分布するスギの花粉飛散量が多くなるタイミングは、次のとおりです。
■気温が高く、乾燥している日
気温が高いほどスギの雄花が開きやすく、放出される花粉量が増えます。また、空気が乾燥していると花粉が湿気を吸わないため、空気中に一層長い時間漂います。
■風が強い日
強風によって木々が揺らされることで放出される花粉量が増え、さらに風に乗って花粉がより遠くまで飛んでいきます。地表に落下している花粉も、強風によって舞い上げられてしまいます。
■雨の翌日
雨が降ると、雨粒と一緒に花粉も地面に落下します。一方、雨の翌日に晴れた場合は地面に落下した花粉が乾燥して再び舞い上がるため、通常より飛散量が増えます。場合によっては、前日の数十倍もの花粉が飛ぶこともあります。
■「正午ごろ」と「日没ごろ」
花粉の飛散量は、1日の中でも上下します。特に都市部の場合、「正午ごろ」と「日没ごろ」に、それぞれ花粉が多くなるようです。
日の出とともに雄花が開き、放出された花粉が風に乗って都市部にやってくるタイミングが「正午ごろ」であること、そして日中、上空高くまで舞い上がった花粉が日没のタイミングで地表付近まで降りてくることが原因と考えられます。
このように花粉の飛散量が増えるタイミングでも、花粉光環が見られるかもしれません。花粉の飛散状況が気になるときは、花粉飛散予測も参考にしてください。
太陽の周りが虹色に光る花粉光環は花粉大量飛散のサイン!
花粉光環の出現は、花粉が大量に飛散しているサインでもあります。太陽を取り囲む虹色のリングは美しく見えるものの、花粉対策が必要な方にとっては恐ろしくもありますよね。花粉飛散予測で、花粉の飛散状況もチェックしておきましょう。