北陸の夏 梅雨の最盛期 短期集中の大雨に警戒 歯止めが利かない猛暑や長い残暑も
チベット高気圧と太平洋高気圧 真夏にありがた迷惑な布団の2枚重ね
その背景には、
①地球温暖化の影響等で中緯度帯を中心に大気全体の温度がかなり高いこと。
②ラニーニャ現象に近い海面水温分布となり、海面水温は、西部太平洋熱帯域・インド洋熱帯域ともに高く、積乱雲の発生が多いこと。
これらの影響で、上空にあるチベット高気圧は北東への張り出しがやや強く、偏西風は日本付近では平年よりやや北寄りを流れ、太平洋高気圧は北西への張り出しがやや強いでしょう。
こうしたことから、北陸地方は暖かい空気に覆われやすい見込みです。
梅雨が明けると厳しい猛暑となりお盆を過ぎても長い残暑となるでしょう。
例年の台風の進路は、8月⇒9月にかけて夏の高気圧(太平洋高気圧)が弱まるとともに徐々に南へ後退していきます。ところが、秋にかけて太平洋高気圧の北への張り出しが強い状態が続くと、台風が本州付近に近づいた場合、日本海コースとなりやすくなります。強いフェーン現象がたびたび発生して、北陸地方では9月になっても著しい高温となる日が出てくるでしょう。2023年(昨年)に匹敵する酷暑となる可能性もあります。農作物や家畜の暑さ対策、水の管理等には十分注意してください。また、熱中症などの体調管理、食品の温度管理には十分注意してください。
また、北陸地方の梅雨明けは、平年より早まる可能性も考えられます。ただ、期間が短くなっても油断は禁物。特に7月上旬頃を中心とした短期集中の大雨には十分な警戒が必要です。
梅雨の最盛期・末期のような大雨に警戒
日本海の海面水温は平年より3度前後も高く、南からの強い暖湿気に日本海からの水蒸気の供給も追加されれば、雨雲は更に発達しやすくなることが予想されます。雨に関する情報にはいつも以上に気を配り、万一の際は躊躇することなく早めの避難、安全な場所に身を置くようにして下さい。
6月30日頃からは10年に1度程度の著しい高温
農作物や家畜の暑さ対策、水の管理等に十分注意してください。また、熱中症などの体調管理、食品の温度管理には十分注意してください。
熱中症警戒アラート 発表が無くても「死亡」や「重症事例」も
2021年や2022年は、救急搬送数や死亡・重症者数ともに、赤色に相当するアラートの発表基準未満の方が人数が多くなっています。これは、熱中症警戒アラートが発表される「暑さ指数(WBGT)33以上」の基準に達する以前に、実況では既に危険な暑さになっていることを示すものです。環境省では、暑さ指数(WBGT)が28以上の場合、室温が上昇した屋内や炎天下では、運動を伴わない場合でも熱中症患者の発生率が急増するとしており、注意が必要です。
梅雨入りした北陸地方では、湿度が高く、空気の質が変わっています。暑さ指数は、「気温:1」「湿度:7」「輻射熱(ふくしゃねつ):2」の割合で影響が計算されるように、湿度のウェイトが最も高くなっています。湿度が高いと汗をかいても蒸発しにくいために、体温が下がりにくく身体の中に熱がこもりやすくなるために熱中症リスクが高まってしまうのです。
特に高齢者や小さなお子様は、周囲の大人が十分に気を配るようにしましょう。お一人で農作業などの屋外作業をする際は、定期的に休憩をとり、水分と塩分をこまめにとるように心がけて熱中症を予防していきましょう。
2023年の熱中症警戒アラート発表回数全国ランキング 新潟県は全国1位
また、2023年の8月の月平均気温は、新潟・金沢・富山・福井のいずれも初の30度超えとなり、過去の実況から冷夏傾向とされるエルニーニョ現象下であっても、統計史上最も暑い夏となりました。それは、上の表の他の府県の気温と比較しても、北陸がいかに暑い夏だったかがお分かり頂けるでしょう。
今夏は、北陸地方の夏が過去の実況から高温傾向となりやすいラニーニャ現象が発生する可能性が高くなっています。昨年並みかそれ以上の厳しい酷暑となる可能性が高く、昨年以上に熱中症などの健康管理、農作物などの温度管理や水の管理には十分な対策を講じていくことが求められます。