実は忘れがち 女性・高齢者・乳幼児など 配慮が必要な方の備蓄品は? #知り続ける
いざという時のために自分に必要なものは? 避難所の備蓄品には限りがある
東日本大震災など大きな災害が起きると、避難所では食料すら足りない状況が必ず起きています。公的な支援物資はすぐに届くとは限らず、コンビニなどのお店にも人が殺到し、商品がすぐ無くなる可能性もあります。備蓄品として何が必要か確認しておきましょう。
大規模な災害が発生した場合、被災地の外から、十分な食料支援を受けられるようになるには、数日程度かかることが想定されます。自治体によっては備蓄量が少なく、避難所以外の場所に備蓄していて避難所への配送が難しい状況になることも考えられます。
自治体の備蓄は補助的なものと考え、被災地以外からの支援を受けられるまでの数日間に必要なものはなるべくご自身で用意しておくようにしましょう。
災害発生から3日を過ぎると生存率が著しく下がってしまうため、災害発生から3日間は人命救助が最優先になります。道路の復旧や避難所への物資輸送はその後になるので、まずこの3日間を自力で乗り越えられるように準備することが大切になります。
避難時に必要なもの 「最低限必要なもの」と「あれば良いもの」を揃えておこう
食料や生活品などは、家族のリュックに手分けして背負えるようにしておくと良いです。身分証明書の類は持ち出しやすい様、保管場所をある程度まとめておくと便利です。
自治体の避難所の備蓄品の多くは、一般的な人が生き延びるのに必要なもので構成されています。乳幼児、高齢者など配慮が必要な方はそれぞれで準備が必要になります。ここからは、配慮が必要な方の備蓄品を確認していきましょう。
女性に必要な備蓄品 女性ならではのことにも配慮を
いざというときのために生理用品は1か月使用分はストックしておきましょう。また、電気・水道・ガスなどのライフラインが寸断されてしまった場合や避難所などでは、洗濯を頻繁にできない可能性があります。下着ライナーなどを活用してデリケートゾーンを清潔に保つようにしましょう。ストレスな環境下で少しでも心地よく過ごすためや、避難所で洗濯するときのことも考え、ブラつきキャミソールもおすすめです。
集団生活が強いられる避難所では女性を狙った犯罪の可能性も考えられます。いざという時のために笛などの防犯グッズを持ち歩くようにしましょう。
また、実際に被災した方から着替え場所に困ったという声も上がっています。トイレなどの狭いスペースでもさっと着替えられるような服装を準備しておくようにしましょう。
乳幼児に必要な備蓄品 ママも赤ちゃんも安心して避難生活を送れるように
ミルクについては、災害時にはお湯がない場合もあるため、液体ミルクの活用がおすすめです。混ぜたり温める必要がなく、哺乳瓶に直接注いで飲むことができます。
使い捨てカイロは、防寒対策はもちろん、レトルトのベビーフードやミルクを温めることにも活用できますので、用意しておくと良いでしょう。
ポリエチレン袋は、食品を入れて混ぜたり、つぶしたりなど、非常時の離乳食づくりをすることもできますので、丈夫な高密度タイプを購入すると良いです。
母乳育児中であれば母乳パッドや、避難所で授乳する場合の授乳ケープやバスタオルがあると安心です。また乳幼児は汗っかきなので、特に暑い時期は肌着などの着替えを用意しておきましょう。
災害発生時は、大勢の人が一斉に移動したり、建物や街路樹などが倒れたりなど、ベビーカーが使えなくなる可能性があります。抱っこひもなども準備しておくようにしてください。
高齢者に必要な備蓄品 無理をしない避難生活を送るために
災害時、高齢者の方にとっては、パンや乾燥した食品では喉に通りにくかったり、お湯を沸かして注ぐ手間も大変だったりします。普段食べ慣れているものを、少し多めに用意しておきましょう。お水やお茶に簡単にとろみをつけられるように「とろみ剤」を準備しておくと安心です。
避難所などのトイレは混んでいたり、高齢者や要介護者には使いにくいこともありますので、普段はあまりおむつを使用しない方でも、多めに準備しておくと良いでしょう。おむつは吸水性が高いので、汚れそうなところや水を使う処置のときに下に敷くなどをして活用することもできます。
災害によっては、薬がなかなか手に入らないことも考えられます。疾患によっては毎日服用しなければならない薬もありますので、いま飲んでいる薬についてご家族が把握しておくことも重要です。
また、お薬手帳があれば避難先の薬局でも必要な薬を処方してもらうことができます。避難の際はお薬手帳も忘れずに持っていきましょう。
アレルギー・持病のある方に必要な備蓄品 ローリングストックを活用しよう
今回ご紹介した配慮が必要な方の備蓄は、ローリングストックで備えておくことをおすすめします。ローリングストックとは、普段から少し多めに食材などを買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法のことをいいます。日常生活で消費しながら備蓄することができるので、実際に被災した際も食べ慣れているもの、使い慣れているものを使用することができます。
ローリングストックを上手く実践できれば、配慮が必要な方でも、災害時に普段に近い生活を送ることが期待できます。日々の生活の中でも、備蓄を意識しておくようにしましょう。
この記事は日本気象協会とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。東日本大震災から10年が過ぎましたが、その時の教訓を絶対に忘れてはなりません。普段からの備えや災害発生時の行動について、皆さんで「知り続ける」ようにしていきましょう。