9月の星空・天文情報 9月の満月は「中秋の名月」 「アンタレス食」も
「夏の大三角」と「秋の四辺形」に注目
気象庁では9月~11月を「秋」としていますが、9月でも「夏の大三角」が空高く見えます。「夏の大三角」は3つの1等星、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブを結んでできる大きな三角形です。
また「夏の大三角」の東側に目を向けると、同じくらいの明るさの4つの星が作る「秋の四辺形」があります。
秋の夜長、じっくり夜空を眺めてみるのも、おすすめです。
9月の満月は「中秋の名月」「ハーベストムーン」
太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月のことを「中秋の名月」と言い、「中秋の名月」と満月の日付がずれることもよくあるのですが、今年は「中秋の名月」と満月が同じ日です。「芋名月」とも呼ばれ、昔からお月見を楽しんできた「中秋の名月」を、ぜひ、楽しんでみてはいかがでしょうか。
なお、満月には英語圏で様々な呼び名があります。9月の満月は、農作物を収穫する頃などから「ハーベストムーン」と呼ばれます。このような呼び名を思い出しながら、月を眺めてみるのも良さそうです。
なお、9月29日、東京では、月の出の時刻は、17時32分です。
3日~5日 月が木星に接近
秋の星座は、明るい星が少ないのですが、その中でも、木星は際立って輝きます。9月3日から月が木星に近づく様子が見られ、最も近づくのは4日深夜~5日明け方です。4日には、半月よりも少し膨らんだ月が、木星のすぐ近くから夜空を照らします。5日に日付がかわると、夜明け前の空では、月と木星だけでなく、東の低い空で「明けの明星・金星」もコラボします。
ぜひ、空を見上げてみてください。
21日 アンタレス食
今回のアンタレス食は、日本全国で観察できますが、時間は場所によって異なります。アンタレスが月に隠される「潜入」は、21日17時過ぎに起こりますが、これは、まだ日の入り前の時間帯です。
一方、アンタレスが月の背後から姿を現す「出現」の様子は、日の入り後で、空が暗くなる時間帯です。出現時刻は、札幌では18時44分頃、東京では18時51分頃、福岡では18時35分頃です。アンタレスは点のように見えるので、一瞬の「出現」を見逃さないでください。
なお、アンタレスの出現の観察は、西側の地域ほど、まだ空の明さが残っている時間帯に「出現」を迎えますので、見つけるポイントは「月の光っている方の縁」を観察することです。肉眼でも見ることができそうですが、双眼鏡や望遠鏡があると、より分かりやすくなります。
また、遅い時間にアンタレスが出現する地域では、月やアンタレスの高度が低いので、建物などに邪魔されないよう、南から南西の空が地平線近くまで開けている場所で観察するのが良さそうです。
12日~30日 水星が西方最大離角
この順番通り、水星は、太陽系の中で、最も内側を公転している惑星です。このため、水星を見つけやすくなる時期は、太陽からの見かけの位置が離れる「最大離角(りかく)」前後に限られるのです。
今回は、12日頃から徐々に明るい水星を見つけやすくなり、22日に西方最大離角を迎えます。水星を見つけるポイントは、東の空が開けた場所で、良く晴れた日を選ぶことです。
なお、水星は東の空の低い所に輝きますが、水星より高い所では、一段と明るい金星の姿も楽しめます。ぜひ、2つの星を見つけてみてください。
そのほか流星群も
出現期間は5日~17日ですが、極大は9月10日8時です。日曜日なので、ゆったりと夜空を見上げられるという方も大勢いらっしゃると思います。
月明かりは、ほとんど気にならないので、なるべくあかりの少ない場所、空を広く見渡せる場所を選んで、広い視野で空全体を観察してみてください。
さらに23日「秋分の日」は、ぎょしゃ座β流星群がピークを迎えます。
20年ほどの周期で、突発出現を繰り返している流星群で、前回の突発は2003年でした。そのため、今年は特に、多くの流れ星が期待されます。
夜半過ぎになると、放射点が高度を上げるので、空の一段と高い所から星が流れ、暗い空のもと、観察しやすくなります。
秋の夜空で、星に願いを託してみては。