エルニーニョ現象 秋にかけても発生しない可能性が高い
6月の実況
6 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は −0.8度で基準値より低い値になりました。太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年並みでした。
このような海洋と大気の状態は、一部にラニーニャ現象時の特徴も見られますが、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。
今後の見通し
西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況
6 月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後夏は基準値より高い値か基準値に近い値で、秋は基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。
エルニーニョ現象・ラニーニャ現象とは?
エルニーニョ現象が発生している時は、東風が平常時よりも弱くなり、西部に溜まっていた暖かい海水が東側へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上りが弱まります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が高い状態になり、積乱雲が盛んに発生する海域も、平常時より東へ移ります。
エルニーニョ現象が発生すると、日本付近では、夏は気温が低く・日照時間が少なくなる傾向があります。一方、冬は気温が高くなる傾向があります。
ラニーニャ現象が発生している時は、東風が平常時よりも強くなり、西部では吹き寄せられる暖かい海水の層がより厚くなり、インドネシア近海の海上では積乱雲がより盛んに発生します。一方、東部では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が低くなります。
ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏は気温が高くなる傾向があります。一方冬は気温が低くなる傾向があります。